えっ今さらどうしてロンドン?もう終わったはずじゃ……と戦慄された方、大丈夫、これで最後です!どうしてもメモしておきたかったことがいくつかあったので書き記しておこうと。日本時間では真夜中のこの時間帯にこっそりアップ。
ロンドンは生活費が高いことで有名な街ですが、数日ふらふらするだけの旅行者にも、それはずしんと響いてきます。
まずはホテル代です。
パリより圧倒的に高い。パリだって高い方だと言われているのに。
宿代は安くおさえたい!でもキレイで快適なところがいい
ロンドンで泊めてもらえるような親戚や友人がいない人もいるし、いたとしても、友人同士で旅行に行く場合、ホテルで気兼ねなくキャッキャしたいよね、という人もいるでしょう。繊細なタイプの人は気を使い過ぎて神経すり減らしちゃうってこともあるかもしれません。
だからといってこのロンドンのホテル代は高すぎでしょ!でも汚いところはイヤ!ちゃんとバスタブがあって、水がたっぷり出て、清潔でそこそこ広い部屋がいい……低価格で。
というとんでもないわがままを叶えてくれるのが「ロンドン・アップルハウス」。
ここは今回で利用するの2回目なんですが、ロンドン在住の友人の親戚の方がすすめてくれた宿です。
基本的には日本人女性専用の宿のようです。ロンドンにいくつか点在し、すべてが利便性の高い駅に近く、清潔で広々として、安い。夢のようです。ロンドンってパリの10倍の広さらしいんですが、パリの感覚で地図を見ながら移動すると「え、こんなに移動に時間かかるの?まだ着かないの?」ってかなり時間を消費してしまいます。だから中心部に宿があることはとても大事。今回私たちはクイーンズウェイ駅のすぐそばの宿で、すごく便利でした。
その代わり、こまごまとした備品の用意や、自分の身の回りの掃除や洗濯などはしなくてはいけません。この約束をきちんと守れるのが日本人女性の特性だから、ということで日本人女性専用の宿となっているみたいです。ひとつの部屋の中にいくつか分かれた部屋があり、それを貸してもらえるので、他の泊まり客の方とも顔を合わせますが、鍵もあるのでプライベートはきちんと守られます。トイレとお風呂は共同になりますが、全員がこまめに掃除するのでとても清潔。地味に広いキッチンがあるのも嬉しいです。夜に帰ってきて、「どうしてもお茶が一杯飲みたい」……という気持ちになることもあるし。
そんなわけでお世話になったロンドン・アップルハウスのホームページはこちら。
どれがお得なのか、観光客には(私には)ちょっとややこしいロンドンの交通料金
私、道に迷いやすいたちなので旅行前には移動手段について徹底的に調べます。
そして、交通費ってボディブローのように地味に響いてきますよね。とくにロンドンの地下鉄は世界で一番高いとも言われていて、もうそんなこと聞いたらビクビクしちゃう!
で、一区間の切符が4.8ポンド(2015年)。
900円、くらいでしょうか。
もう、完全に特急運賃。
だからこそロンドンにはオイスターカードというものがあるのです。
パリのナビゴみたいに、1回買ったら1カ月乗り放題みたいなものではなく、その都度チャージして使うもので、在住者も観光客もみんなこのオイスターカードなんだという話です。
正確には、もうひとつトラベルカードというものがあって、1日券とか7日券とかあるのですが、どっちがお得なのか調べて行くうちにものすごく面倒くさくなってしまうほどに、そんなに料金にちがいはありません。
トラベルカードは1日券が12ポンド、1日券が32ポンドです。
対してオイスターカードで乗ると一区間2.3ポンドです(もう、4.8ポンドの一枚チケット販売しなくてもいいんじゃないかと思うんだけど大人の事情があるのかもしれない)。
ピークオフという時間帯が平日の9:30~16:30と週末にあたり、このあいだだと運賃はちょっと安くなるけどそんなに変わらないよね、という感じ。
それでオイスターカードには「プライスキャップ」というシステムがあり、ある一定以上の値段まで使用するとそのあとは無料というか、請求されません。上限が決まってるんですね。つまり地下鉄に乗りまくるはずの旅行者なら、1日分の料金は、以下の値段になるということです。
ゾーン2まで……6.4ポンド
ゾーン3まで……7.5ポンド
ゾーン4まで……9.2ポンド
ゾーン5まで……10.9ポンド
ゾーン6まで……11.7ポンド
……あれ?オイスターカードの方がお得だった。やっぱりきちんと調べるべきですね。
オイスターカードは私は前回のものを返さずにとっておいたんですが、使用から2年たったら無効になるという話を聞いて使えないかな、と心配していたらちゃんと使えていました。
まずカード購入にあたり、5ポンドのチャージが必要なんですが、これは帰るときに返してもらえます。窓口でしか返却はできないという話も聞いていたけれど、券売機ですべての操作が可能でした。ただし、券売機自体に「これは購入と返却と……」というふうに、「ハイ!私これできます!」とか「私にはこの機能が!」といった主張がそれぞれ書かれているので、それに注意しながら並んでください。
そして、ロンドンで一番くたびれたのは、地下鉄の移動だった気がします。
とにかく地上までが長い。俺たちはいつになったら太陽の光を拝めるんだ……とこのロングエレベーターが目に入るたびにぐったりしてしまいました。
どこのものであろうと地下鉄の空気が好きでたまらんって人はあんまりいないと思うんですが、それもまだ日本の地下鉄ならともかくヨーロッパの地下鉄はどこもアレなのでね、地下鉄構内の移動が長いって結構苦痛です。乗ってるときは良いんだけど。
とにかくもう、イギリス人深く掘り過ぎ。
こんなに頑張って掘らなくてよかったんじゃない?
ひとり張りきったヤツがいたんでしょ?いるよね、「はしゃぎ」が過ぎて他人の仕事も増やすヤツってどこのクラスにも。
それにしても深い、もう「深淵」ですよこんなもの!現代人の孤独を埋めるために掘られたのかってくらい。
もしこれがパリの、もっと空気の悪い地下鉄だったとしたら耐えられない……浅いところで止めておいてくれてありがとうフランス!たぶん深く掘るの面倒だったんだよね?いいよそのスピリッツ!
というわけで、私、ロンドンにいるあいだはできる限りあの赤くて可愛らしい2階建てバスを利用することにいたしました。
可愛い!!もう、ロンドン可愛い!
バスって、私はパリでもやっぱり地下鉄よりは断然好きなんですけど、今住んでいる所があんまりバスの路線が多くないので活用できずにいます。
でもロンドンはやっぱりこの赤バスがシンボルのひとつでもあるためか、路線が充実していて「え、こんなに遠くまで来たのに宿まで1本で帰れるの?」ってことがしょっちゅうあって嬉しかったです。
空気がよくて、深い闇の底までわざわざ下りなくていい、こんないいものはないと思いました。
おまけに観光客にとっては移動時間で街の観光もできてしまうという、まさに一石二鳥な乗り物です。そういう理由でパリに友人が遊びに来たりした場合には、できるだけ観光名所を通るバスを利用するようにしているのですが、旅行って案外時間がないので地下鉄より断然おすすめ。
でもロンドンのバスがさらにいいのは、2階建てってことですよね……うひひ。
観光客はこぞって2階にのぼるんですが、さらに1番前だとも楽しくって仕方ありません。これもロンドンに住み始めると「おいおい2階にわざわざのぼるなんて面倒なことを……」と思うだろうし、私もそう思われていたのかもしれませんが、1週間くらいの旅行なら飽きる気がしませんよ!
あと赤バスとならんで黒タクシーもロンドンの街を特徴づけると思いますが、私はこの紺のタクシーが可愛いなと思いました。乗りたかったなー。
とてつもない接客が味わえるとうわさのワンケイの安くてたっぷりご飯
さて、最後に書いておきたいのは、「外食の節約」。
私、ロンドン旅行中にどうしてもいっておかなければならないと思う店がありました。
それは……「世界で一番接客態度が悪い」とうわさされる、ワンケイ。
ワンケイ Wong Kei
41-43 Wardour St, London W1D 6PY
ロンドンにやってきてから、中華料理屋の店員のサービスと愛想のよさには驚きっぱなしだったのですが、このワンケイはとにかく愛想が悪く、人を人とも思わない接客が受けられるというのです!そういうのってもう接客って呼んでいいの?
その、客をカスのように扱うという接客がどうしても見てみたい……私はわくわくしながら問題のワンケイの門を叩きました。もちろん友人には丁重に同行をお断りされています!
私が店に入る、と同時に、20人ほどの中国人団体客が入店しました。
団体客A:「ちょっとどこに座ったらいいの!?」
団体客B:「奥空いてんじゃん!座ろうぜ!」
ガイド:「あーダメダメ!お客さん勝手に座らないで!」
みたいなやりとりに(想像)、私はしばし席に着くこともままなりませんでした。
そうこうしているうちにメガネ&スポーツ刈りという、ザ・香港ボーイな男性スタッフが「ハウメニ?」と訊ねてきました。
ひとりだ、というとじゃあこっちおいで、と席に案内され、メニューとジャスミンティーが用意されます。
ここでもジャスミンティー出てくるんだー……って、あれ?
同じ香港ボーイが注文を取りに来ます。
私にとってワンケイは食事と食事のあいだのおやつだったため、軽いものをと思い「ワンタンスープ」を注文。
「麺入れる?」と訊かれ、入れないというと、OK、と笑顔さえ見せる香港ボーイ。
ワンタンスープは「予知されてたか」と思うほどすぐ出てきました。
私はもう少しちっちゃいものを想像していたけどラーメンどんぶりサイズでした。これで3.8ポンド。麺を入れると1ポンド増しだったと思います。
ワンケイはただ「愛想の悪い接客」という理由だけで人気なのではありません。
ワンケイの人気は、ロンドンの外食の価格基準からは大きく外れた、「安くてたっぷり、そしてまずくない」という大衆食堂的な人気なのだそうです。
まわりは、よくみると中国人観光客の他に肉体労働者的なおっちゃんたちが多く、彼らは「より大盛りなメニュー」を熟知しているのか、「平皿にどっぷり乗っかったなにか」を食べている人が多かったです。そしてとにかく満員御礼。
ワンケイでは各テーブルに設置してあるラー油が名物らしく、「どの食事にもこのラー油を乗せて食べろ」と書いてあったサイトを見つけたので、ワンタンをスプーンですくい、このラー油をかけて食べました。この方法は新宿のワンタン麺屋で学びました。
ラー油、美味しかったです。中国の食べるラー油はどこにいってもはずしたことはありません。これは日本でおいしくない漬け物にはあまり当たらない、みたいなもんでしょうか。
たぶんどのメニューを食べてもそんなにはずれはなさそう。ワンケイは「安くたっぷり食べたい男性客」の味方なんだなと思いました。いや、私、「安くたっぷり食べたい男性客」じゃないんですけど……
それにしても、このワンケイの世界一愛想が悪いと言われる接客。
店内に一歩足を踏み入れるなり「何人だよ!!」と怒鳴りつけられ、「そこに座れ!!」「下に行け!!」と上官のごとく命令され、席に着くとメニューを叩きつけられ、料理をドンッとテーブルに置かれる……
と聞いて怖いものみたさでわくわくしていたのですが……ぜんぜん愛想悪くない。
香港ボーイはむしろ優しかったといってもいい。
香港ボーイが異様に職業意識の高い青年なのか、それとも経営方針が変わったのか、わかりませんがちょっと拍子抜け。
考えるだに恐ろしいことですが、1番あってはならないのは「パリの中華の接客がこれよりひどいので慣れている」ってことですね。
「お前ら何人だ!!」「ちがう、奥に行け!!」くらいは日常的にあるよね、と思ってしまうのがつらい。
私はきっとパリの中華で「接客の常識」という薄皮をぺりぺりと剥がされているのだ。
あと、このワンケイには、いったい誰がなんの目的で作ったのかわからない「ワンケイTシャツ」なるものが販売されているとのこと。レジで買えると聞いていたので買う気満々だったのですが、そんなTシャツは影もかたちも見当たりませんでした。なんでだー!
でもうわさに聞くよりもずっと、女性の1人客でも入りやすいということはわかりました。それが今回の収穫でしょうか。
こんなロンドン、また行けるといいなー。