日本に着いて最初の食事は、欲望のままにふらふらと入ったサラリーマン御用達みたいな食堂で、欲望のままに頼んだカツ丼。
ちょっと分厚い生煮え玉ねぎがはみ出ています。
が、これで490円。パリならカツ丼は平均して13ユーロ程だと思いますから、およそ1800円で同じものが提供されるでしょう。おまけにアエロフロートの機内食がゴニョゴニョ……だったものでもう、涙出そうでした。
いやしかしちょっと待て、と満腹になってからハタと思います。
弾丸一時帰国なのだから、もっと一食一食を大切にしなければいけない。
出来るだけ厳選しておいしいものを、誰かと一緒に食べなければいけない。
とくに一人飯は避けなければいけない。
いったいなにを一人で、しかも丼物で颯爽と腹を満たしておるのか、と反省いたしました。
でもまあ、平日はとくに、昼食は一人で食べなければならないことが何度かありました。
今日はその中でも、良質な外食に飢えた日本人が一年ぶりに新宿にて腹を満たした様をごらんいただきたいと思います。
一人だとつい、麺が食べたいな、となるわけです。
誰かとひさしぶりに会うとなると、ゆっくり出来るところを選ぶからです。麺はサッと食べてサッと出るが基本ですので……
それで、ワンタン麺に大変心を惹かれました。
パリでもしょっちゅう食べているのですが、日本のものはまったく別物ですから。
汁なし坦々麺と激しく迷った挙句、濃厚海老雲呑麺(税込842円)を選びました。
店員さんが食べ方を説明してくれます。そのまま食べてもいいし、ワンタンだけラー油につけて食べても良い。
ほんとうに、ほんとうに濃厚でおいしい……。
パリのワンタン麺も好きだけど、これより高くてワンタンも……ゴニョゴニョ。
ワンタンも大きくて、海老もはち切れんばかり。グラビアアイドルばり。
東京の麺って、もやしみたいな太くて短い麺が多いですね。そういう文化なの?
そしてこういう写真撮るとまるでグルメブロガーになったように錯覚しますね!100%錯覚です!
なんだか日本で外食するとつい
「これパリで出したらいくらくらいだろう……」
って考えるエゲツナイ癖がついてしまったんですけど、たぶん2500円くらいいくでしょうね、これは。
わんたんめん 広州市場 新宿東口店
新宿区新宿3-17-13 KBビル1F
翌日も予定がいろいろ思うようにいかず、またまた新宿で一人ランチをしなければいけなくなりました。
急遽自分で店選びをしなければならなくなり、全力で他力本願予定だったため、焦りました。
そこでこれですよ、ギョ・ウ・レ・ツ。
これこそまさに誰にも迷惑をかけることなく静かに遂行することのできる完璧な他力本願と言えましょう。
そっと最後尾に並びました。
天丼とすごく悩んだけど、基本ぽい「宝」にしました。
店内は外国のお客さんも多かったので、おそらくガイドブックに載っているのだろうと思われます。
こういう込み合っている店も、声が聞こえにくかったり「早く出なきゃ!」と焦ったりするので、誰かと来るよりも一人飯向きのような気がします。
私、天ぷらは天つゆにぶしゃーっと浸して食べるのが好きなんですが、なんだかそれをするとバカ舌丸出しのような気がしてなかなか勇気が要りますね。
そうそう、塩で食べれば「ツウ」な雰囲気が出る、と風のうわさに聞いたことがあります。
ここは塩で行こう、と全種類試しました。私、ハーブが好きだった。こう書くと私も急に丸の内OLみたいな風情が出て良いですね!
分厚い玉ねぎの天ぷらと、かきあげ(海老がでかい)がとくに美味しかったです。私、普段はかきあげが好きじゃないので、それは「とてもおいしかった」と言うことになるのだと思います。
目の前で天ぷらをあげてくれるシェフ(と言って良いのか)は私がちょっとキョロキョロすると
「なに?お茶?」
とすぐに気がついてくれます。
頑固一徹風なのかと思ったら細かい気遣いをしてくれる、ツンデレです。
あとから調べてみたら、ここはかなりの老舗だったんですね。無知ってこわい。
まあ行列できてたあたりで予想はしてましたよ!
船橋屋 本店
新宿区新宿3-28-14
日本で食べたもの、全部おいしかった。