さて、みなさんはユーロスターでロンドンに着いた私が真っ先に食べたもの、あるいは食べるべきものは何だと思われますか?
そうですね!中華です!
ロンドンに来るにあたって絶対に食べたかった飲茶。
かつて香港はイギリス領であったわけですから、ロンドンの飲茶はぜったいに美味であろうと予測できるわけです。
というのもたとえばパリでは、かつてフランス領であった関係もあり(たぶん)ベトナム料理やモロッコ料理を至るところで味わうことが出来るし、そのレベルは時にして「本場よりおいしい」と言われるほどなのです。
その、植民地や移民に関係する国民感情については、ここはちょっとアレがアレなブログなものですから言及しないのですが、「だからロンドンの飲茶も旨かろう」というのは決して根拠のない予測とはいえません。
まあ、「ロンドンの中華はヨーロッパで一番おいしい」って、知人から聞いてただけなんですけどね。
そりゃあロンドン行く前に、夜更かししてまで調べましたよね、あらゆる中華料理屋を。
その結果行きたいレストランが6件からどうしても絞れなかったんですが、ここはまあ運任せでとにかく行けるだけ行っとこう!という意気込みの中、トップバッターに選ばれたのがこちら。ジョイキンロウ(Joy King Lau)。
ここを食べずに帰るなんてダメ!というロンドン在住の方のレビューを読んで、なんとしても行っておこうと心に決めていた。
店内はとても清潔で、とても高級そうなわけでもものすごく庶民的なわけでもない、この絶妙な雰囲気の中華はパリではあまり出会わないなあと思いました。
席に着くとなにはともあれジャスミン・ティーが出てきます。
このお茶代が1ポンドみたいです。居酒屋におけるお通しみたいなものでしょうか。それにしても1ポンド!パリでジャスミン・ティー飲んだら、4~5ユーロくらいのはず。
まず、友人がなにか大皿の炭水化物を求めていたので、海鮮あんかけ焼きそばを頼みました。
私は海鮮あんかけ焼きそばに代表される、「海鮮あんかけ〇〇」シリーズは、いついかなる時に出て来ても文句ありません。嬉しくなっちゃう。以前、パリで日本人の料理人にそういったら、「そりゃあ貧乏舌だな」と言われたことがありますが、だって好きなんだもの!
しかもパリパリ麺。
私、飲茶が好きだというわりにはいつも小龍包ばっかりお腹いっぱい食べて終わるんですが、じつはずっと気になっていたんです、タロイモのコロッケ。
これホントおいしいから!と飲茶好きが口をそろえていうわけです。それならやはり体験しなくてはいけない、と半分義務感にさえかられて頼んでみました。
パリパリしている……そしてタロイモは胸に効くらしいよね……
でもなんだかおいしいんだけど、ちょっと油っぽさが気になりました。もしかするとそれは、焼きそばがすでに揚げ麺だったから、ダブル揚げになってしまったせいかな……
もう今日は点心一色ってときには揚げ要員として良いかもしれません。
そしてやはり、はずせない小龍包。
いつだってどんなときだって、小龍包をメニューに見つけると私は嬉しい。この厚い皮の中にスープのコスモが詰まってる……とか言い出した日にはまるで私が彦魔呂氏の影響下にあるかのようですから、やめておきましょう。しょせん貧乏舌といわれてしまう私ですもの。……根に持ってませんよ!
あとは定番の海老餃子ですよね。20個くらい食べたい。
でもここいらでお腹がいっぱいになってしまいました。なんと友人は自他共に認める超少食だったのです!私はそうでもないけど……
それに飲茶ってついお茶を飲み過ぎてしまうから、最初の意気込みほどは量を食べられないんですよね。
こ のジョイキンロウは、ロンドン在住の方々の間で良心的な値段でおいしいと、わりと普段使いされている店のようだったんですが、その評判がよくわかる内容でした。日本人好みのメニューと味です。選択肢も多い。私、ロンドンに住んでたら月一くらいで通っちゃうかもしれません。
それに、会計を待っている間に私がお手洗いに行って戻ってくると、友人はすでに席を立っていたのですが、
「お店の人がね、『ほんとうに申し訳ないんだけど、満席になっちゃったから席を移ってくれない?ごめんなさいね!お茶まだ飲む?お湯足しましょうか?』っていうんだよね。パリでこんな対応されたことないよ!中華でまず謝られたことなんてない!ロンドンの方がもしかして全体的に感じがいいんじゃない?」
と感動していました。私もこのお店はとても店員さんが感じがいいなと思いました。ポットのふたを取って中を確認して、なにも言わなくてもお湯を足してくれたり、「今我々はサービスを受けている」という感じがするのです。
もしかするとパリで普通だと思っている中華接客はヨーロッパ共通ではないのかもしれない……そんなことがこの旅の始まりに頭をかすめ、私をちょっとアンニュイな気持ちにさせたのでした。
たとえ鉄仮面みたいな無表情で「おい、お前こっちに移れ!」って言われても何とも思わなくなっている、むしろそれが普通だと思い始めている私たちは、寛容さと忍耐力を得る代わりにもっと大事な何かを失っているのかもしれない……
そしてお腹がいっぱいになり、腹ごなしに散歩しました。
ロンドンポリスのヘルメット可愛いですね!イギリスの制服はだいたい可愛いと思う。
短かったけど楽しかったので、ロンドン記事が続きそうです。しばらくお付き合いください。
Joy King Lau ジョイキンロウ
3 Leicester Street London WC2H 7BL