わかっててもどうしようもないことって、世の中にあふれています。
でもどうしようもなさそうでも実はどうにでもなることもあって、そのひとつが砂糖断ち、だと思います。
こんなにシンプルで、確実にキレイになり、副作用や悪いことの一切ない方法はありません。
おまけに日本でもフランスでもウラジオストクでも、いつでもどこででも実行できます。
プラスではなくマイナスの美容法は、なんにもいらない、ただ忍耐だけ。
「美容と健康に大切なのは、なにを食べるかよりもなにを食べないか」
だとどこかで聞いた(忘れた)とき、異様に納得したものです。
でも女性に甘いものを断てというのは、おそらく拷問に近いはずです。
かくいう私も生まれてからずっと、ずーっと、甘いものを欲してきました。
食後にデザートがひかえていれば、ご飯をすっとばしてデザート食べたい。
一日にまったく甘いものを食べないなんてぜったい考えられない。
むしろひとつでは不安だから、ふたつみっつと家に買い置きしてしまう。
みんなが「甘くて食べられない」と言ってもサクッと食べられる。
甘ければ甘いほど良い、もっともっと甘いものが欲しい。
という、もう一目瞭然の砂糖中毒であったわけです。
そんな中毒患者といってよかった私が砂糖断ちを決意したのは、ダイエットのためでも美肌のためでもなく、こういう話が苦手な方には申し訳ありませんがアレです、月々の耐え難い生理痛がなくなる、という話を聞いたからです。
思えば思春期からこの痛みに悩まされ、ひどいときには学校を休んだし、バイトも休んだことがあります。
私の場合にはほんとうにきついときは薬も効かず、唯一風呂に浸かると若干マシになるので、ふやけるまでずっと浸かりっぱなしでした。
でもこういうのは個人差があってぜんぜん痛みのないひともおり、そのひとが
「え、痛くないよ?」
と言ってしまえば
「あいつはズル休みをしている」
とも言われかねないため、なかなか市民権も得難くつらいものだと思います。
中には救急車で運ばれてしまうような女性もいるそうですが、私にはそれがよくわかります。
ちなみに私は肉体的な痛みにはものすごく強い方です。
めったなことでは「イタ!」とも言いません。
毎月かならず訪れる痛みで丸一日を無駄にする日々……
この痛みから、不自由から解放されればどれだけ良いだろう!
痩せると言われても、美肌になると言われても、それでも私は砂糖を断てなかったはず。
でもあの凄まじい痛みだけは、砂糖の誘惑に勝ってしまったのです。
砂糖の中毒性はほんとうに強力なので、生半可なことではくじけてしまいます。
こうすれば簡単にやめられる、というものは存在しないでしょう。
甘いものが大嫌い、というひとがほんとうにうらやましい。
しかしそれでも、とにかく買わない、という一点に尽きると思います。
それにはまず
「砂糖なんて口にしないストイックな私」
像に酔うことです。
村上春樹著「1Q84」に出てくる青豆さんというのは、ものすごい禁欲キャラだったな、と思うのですが、野菜をぼりぼり齧って他の栄養をちょっと添えて終わり、みたいな、身体に悪いものは食べないし食事に時間もかけないという、ある種の人間の理想とも言える姿でした(もちろん食事が人生の一番の楽しみ!と言う人にはもっとも心弾まない人生でしょう)。
お菓子売り場で菓子類をちらりとみやることもなく通り過ぎ、ザクリと手に取るのはセロリ、みたいなね。嘘ではなく、砂糖断ちをある程度続けるとそうなります。
そして常に、砂糖を口にすると醜くなる、という恐怖と、砂糖を食べなければあんな風になれるかも!(あるいは、どういう身体になるんだろう?)という好奇心に支配されることもポイントです。
私の場合はたぶん食べ過ぎていたからだと思うけど、一週間で確実に肌質が変わりました。
透明感が出てしっとりし、ざらつきがなくなっている!とくに小鼻のざらつきが劇的に改善されている!
だから二週間すればもっとキレイになるのでは、一カ月後はどうなるんだろう?三か月後は?と、どんどん貪欲になって、やめられなくなるのです。
そうして一か月達成したとき、お菓子売り場の前を通っても、ほんとうに信じがたいことに、ぜんぜん、まったく、欲しいと思わなくなっていたのです。
一か月を過ぎたある日、機会があって頂き物のチョコレートを口にしてみました。
あれ、おいしくない。ま、まず?……気持ち悪い?
食べてはいけないという精神的なものもあるかもしれないけど気持ち悪かったのです。
つき合いもあるから完璧に断つのは難しいかもしれないけど、ほんとうにちょびっとで満足するようになりました。
しかし渡仏したことで、日本よりずいぶん砂糖断ちしやすかったのも事実です。
まず日本みたいに安くておいしいお菓子がそこら中にあるわけじゃない。
甘党だった私が一瞬、ぐえ、と思ってしまうほど大量の砂糖が入っていて、チョコレートにジャリ、と溶けきれない砂糖が残っていたりします。
そして高い。
板チョコは平均300円くらいすると思います。
だからお菓子を一切買わないことで節約にもなります。
こうやって冷静に考えてみれば、わざわざお金を出して醜くなるなんてそんなマゾヒスティックなこと、したくなくなります。
イメージがまず大事、よりストイックなイメージ。
ところで肝心の生理痛なのですが、砂糖断ちして最初の生理、ちょう三週間くらい達成したころだと思いますが、風呂釜なければ痛みで転げまわっていた私が、普通に外出できていました。
ご飯は食べられないのが普通だったのに、トンカツなどわりと重いものでも平気。
もちろんまだ痛みは残っていました。
でも学校や仕事に影響あるような痛みではないのです。
それから二カ月、三か月と、どんどん軽くなっていくのを感じました。
これはいったいなぜなのか調べてみました。
生理痛の原因は二通りあり、まずひとつは、経血の通り道になる子宮頸管が狭い、というケース。
若い女性や出産経験がない女性は、子宮頸管が未熟で狭いことが多いのです。
これは砂糖とは関係ありません。
もうひとつはプロスタグランジンという、経血を排出するため分泌されるもの。
これは子宮の収縮を起こし、また炎症や痛みの原因にもなります。
身体が冷えて血行が悪くなると、このプロスタグランジンが過剰に分泌されます。
血行が悪いから、もっと分泌して押し出してやろう、ということなんでしょうか。
そして砂糖が冷え性を引き起こすことは有名です。
単純に、砂糖を摂取すると血液がどろっとして血行が悪くなるだろうことは、なんだか想像できてしまいます。
さらに砂糖は吸収される際に身体のミネラル、ビタミン、カルシウムを使います。
とくにビタミンB12は赤血球を造り、冷え性の回復に効果があるものです。
なんてことでしょう!栄養がないのに栄養を奪うのです。
しかし至るところにはびこっているため、完全な砂糖断ちというのはなかなか難しい。
ふむ、深い問題です。
私も最近は気が弛んでいたので(ぽっちゃり化したり)、この砂糖断ちに関して本気のレポートを出来るよう、いっちょがんばってみたいと思います。