私は発酵食品というものをものすごく信用しています。
そしてここ数年の美容は「菌」がクローズアップされてる気がします。
アレルギーについても、
赤ん坊のころに動物園に何度か連れて行き、
菌を吸い込ませることで防げる、という話も聞いたことがあり、
要するに、あんまり神経質にならずにちょっとだけワイルドにしろ、
というプチ放任主義も立派な美容・健康法のひとつなのだと思います。
あのSK-Ⅱのスーパーリッチな化粧水も酵母を売りにしており、
杜氏さんの手が美しいことがヒントになった、
というフレーズには納得せざるを得ませんでした。
私も、手の美しくない杜氏さんにはお会いしたことがありません。
だから食事に発酵食品を取り入れることはもう義務に近いわけです。
いや、私の個人的な義務なので好きじゃないひとは食べなくていいのです。
でも日本で和食中心の生活をしていれば自然に取り入れられます。
納豆とか、味噌とか、漬物とか。
その中でも甘酒を飲んでいたのは、
単純に私は子供のころから好きだったからです。
でもなぜか他人に言うと、
「あ、甘酒まずいよね!ぜったい飲まない!」
と言われる確率85%くらいだったので口外するのを避けていた……
そこへ数年前の甘酒ブームがやってきたのです!
しめた!
もちろん米麹で作られた、砂糖の入ってないやつを探します。
甘酒に含まれるビタミンB1・B2・B6は脂質の代謝をうながし、
とくにB2は皮膚を健康に保ってくれる。
麹酸はメラニンの生成をおさえ、美白にもよい。
オリゴ糖、葉酸、食物繊維、そしてシステイン、アルギニン、グルタミン等
必須アミノ酸……
美白と潤いとデトックスと血行の改善、さらにダイエット効果……
……とか言って、もうそんなの手に入らないんですけどね!
そう、渡仏を決めた瞬間からもう大好きな甘酒にはサヨナラ!
手に入れようと思えば手に入るかもしれないけど、
美容のための食品は基本毎日の摂取を目標とするため、
気軽に手に入れられなければ意味がないのです。
ヘリで運んできてもらえるような富豪ならば話は別だけど。
というわけで私は腐った食べ物探してパリ中を這いずりまわりました。
安価でそこら中に転がってて、腐ってて美容にいいやつ……
それはどう転んでもヨーグルトしかありえませんでした。
乳製品には賛否両論あり、とくに近年では否定されつつあります。
牛乳に含まれる大量の女性ホルモンが乳がん等の原因になったり、
アジア・アフリカ人は牛乳をはじめとする乳製品がもともと合わない体質だとか。
だから牛乳を飲むとお腹が痛くなる、という子供の反応は自然なもので、
大きくなれないからと無理に飲まそうとする教育が間違っていたのだとか。
それはいわゆる「乳糖不耐性」という、西洋人には見られない体質なのです。
乳製品を摂取すると、腸の調子がかえって悪くなってしまうわけです。
それから牛乳摂取の主な目的である「カルシウム」も、
乳製品を摂取することで体外に排出され、不足してしまうと言われています。
いいとこなし、なんじゃないだろうか?
そう思いながらも、他に選択肢のなかった私は渡仏当初、
スーパーでプレーンヨーグルトを買って毎日食べていました。
なんだか体調が悪い、と気がついたのは10日くらい経ってからです。
環境が変わったから調子が悪いのだと思って気がつかなかったのです。
普通に生活はできるけれど、身体全体がだるくて、すっきりしないのです。
いうならばお腹の中でナメクジを飼っているような、
もぞもぞして、ぜんぜんさわやかな気持ちになれない、気分が優れない。
そんなとき読んでいた本に、乳製品が身体に悪いと書いてあり、
思い切ってやめてみました。
そうしたら次の朝、見事にすっきりとさやわかに目覚めることが出来たのです。
細胞が総チェンジしたみたいに!
あのナメクジたちは決してホームシックの予兆などではなかったのだわ!
渡仏前に友人に、
「誰でもなるらしいから、私もホームシックになるか心配……」
と洩らしたら、
「いや、ならんから」
と半笑いで言われ相手にしてもらえなかった私……
ついに、やはり、私もホームシックに!
とちょっとセンシティブな気持ちだったのに……!
ただその後、
「ヨーグルトはさまざまな種類があり、
それはつまりそれぞれ含まれる乳酸菌が異なるため、
自分の腹にあった乳酸菌の含まれるものを選ばなければならない」
との情報も得たため、
とりあえず美味であるところのヨーグルトをすぐあきらめるのではなく、
ちょくちょくいろんな種類を買っては試してみています。
当たりがあればラッキー、という気持ちで。
ちなみに私が渡仏当初体調を崩したヨーグルトは、
スーパーマーケットのモノプリのオリジナルのヨーグルトです。
それもひとそれぞれの身体に合う合わないがあるので個人的な体験談として。
それにしてもこの出来事は、
アジア人が西洋で暮らすのに、西洋人と同じ美容・健康法は通じない、
ということを思い知らされた出来事でした。
だから我々は自ら食べ物なり方法なり、地道に考え倒さなければいけません。
面倒臭くて楽しい。