知人と、ミント・ティー飲みましょう
と誘われてホイホイついていきました。
パリの中でもちょっと不思議な雰囲気のサロン・ド・テ
それはパリで一番大きなモスクに併設されているここ。
このエキゾチックな雰囲気に私はイチコロ。
といっても二度目ですが……一度目はモスクの見学に来ました。
併設されているけれど入口がちがいます。
そのとき見学料は3ユーロなのを知っていたけど門番のおいちゃんが
入れ入れといれてくれてなんでだか無料でぐるっと回ることが出来て
その幾何学模様と白色の壁の清潔でしんとした空気に
ほう、となったものでした。
祈りの場にはもちろんイスラム教徒でないと入ることはできません。
昔から、アラビア的なものになんだか心躍る傾向があるのです。
私と知人をミント・ティーに誘ってくれたフランス人男性は
大学で芸術論を教えておられ大変に生真面目な人物であり
フランス人なのに遅刻しないし他人の遅刻も許さないという厳格さ
しかし芸術論などに手を出してしまう人物が往々にしてそうであるように
なにかと「エロティシズム」を連呼してしまうひとです。
彫刻の曲線がエロティシズム、めずらしい食材の味がエロティシズム
新緑の香りがエロティシズム、あの女優の骨格がエロティシズム
「バイオレンス」という言葉は3つの節にわけられ
その響きはエロティシズムに満ちている等々
もうこのひとにはなにか感想求められたらとりあえず
エロティシズムがすげえって言っておけば間違いない
というような完全に間違った認識を思わず持ってしまうほど
とにかくエロティシズムという単語に満ちた会話をされるのです。
ちなみにエロティシズム連呼したからってその場の雰囲気が妙に
ピンクピンクしてしまうというようなことは決してありません。
大丈夫です。
しかしアラビックなものに関してだけは私は昔から
あふれるほどのエロティシズムに満ち満ちて押し留めようがない
と感じており、このサロン・ド・テにいるまさにこの瞬間こそ
彼が「エロティシズム」と大きな声で叫ばなければならないときだと
そう思っていたのですが
この日に限ってはずっと焼き鳥の話をしていました。
私のエロティシズムに対する理解に
どこか間違ったところがあるのかもしれない。
そもそも私に「アラビア=エロティシズム」と思わせたものは
子供のころ読んだ千夜一夜物語が原因ではないかと思うのです。
渡仏後のある日、書店で偶然出会った美しい挿絵入りの
「les mille nuits et une nuit」
たしか300ユーロくらいでしたが
買おうかどうしようか迷っている間に
店頭から消えてしまって後悔しています。
いつか古本でいいから見つからないかな……
手塚治虫のアラビアン・ナイトも大好きで、アニメだからこそ可能な
エグさと率直すぎる線がなんともいえず、もう10回以上観ました。
やなせたかし氏が美術監督で、女性がどことなくドキンちゃん風。
ところで肝心のミント・ティーは2ユーロで、座っていると
店員がやってきて
「ミント・ティーでいいか」
と訊かれ、その場で支払います。
砂糖がはじめからたっぷり入っていて
砂糖断ちしてるし飲み物甘いの嫌いだし私はとても飲めません。
砂糖入ってなかったらいいのに……
グラスもなんだかべたべたしてウェットティッシュ必須です。
こんなものは雰囲気です、雰囲気。
別の飲み物も頼めるし、お菓子などもあります。
それは店内に入って注文しなければいけないみたい。
食事もできるようですがパリには安くおいしいモロッコ料理の店が
たくさんあるのでここではお茶だけがいいと個人的には思います。
それと店内には鳥が飛びまわっており
テーブルに乗ってきたりするので
鳥がダメな人は基本的に行かない方が良いと思います。
店内にも舞い込んでくるので逃げ場なし。
トルコ式サウナのハマムもあるようです。
私はハマムは一度も体験したことありませんが気持ちいいらしいですよ。
素っ裸のところもあるようですがここは水着が要るそうです。
男女別に時間が定められているのでチェックしてから行った方が良いです。
15ユーロで入場、マッサージや垢すりが別料金だそうです。
なんだか今日は私がエロティシズム連呼してしまいましたが
ハマムもサロン・ド・テももちろん健全な雰囲気ですよ!
エロティシズムはただみんなの心の中にあるだけだから……
La Mosquée de Paris
39 rue Geoffrey Saint-Hilaire 75005 Paris
定休日なし
メトロ7番線: Censier Daubenton、 Place Monge
モスクを見学したい場合は
La Grande Mosquée de Paris
2 Place du Puits de l’Ermite(金曜は安息日なので見学できないようです)