パリの有名パン屋で感動する・ふわり香るパンデザミ

フランス生活

 

ある友人と会うたびRépublique リュピュブリック界隈から

サンマルタン運河の方へ歩いていくことがよくあり

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友人はそのたびに必ずといっていいほど

「あ!この辺にすごくおいしくて有名なパン屋があるの!

知ってる?えーとどこだっけなー……たしかこの道……

ええと、どこだっけな……」

と私に伝えようと頑張ってくれるために、基本的には

米派の私であってもさすがにそのパンには

興味を持たずにはおられなかった

……と、いうのが私がその日わざわざ早起きしてメトロを乗り継ぎ

朝食を求めてそのパン屋へ飛び込んでいった理由です。

超有名パン屋、Du pain et des idées デュパンエデジデ。

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朝だからかわからないけれど、列が出来ていました。

そしてみんな一様にでっかい紙袋に一杯買っていく。

それなのにパン一切れ買うわけにもいかず

看板商品のPain des amis パンデザミの一番小さいサイズ

それとフランス人がみんな美味しいと褒めるという

エスカルゴという甘いパンを買ってしまい、反砂糖断ち……!

し、しかしこれほどに有名なパン屋の有名なパンであるからには

やはり砂糖断ちに反しても体験しておかねばならない

……かもしれなくないかもしれない、ごめんなさい、私の身体よ。

 

このパン屋は材料にもスタイルにもこだわりぬいていて

小麦粉はオーガニック、果物は旬を過ぎたら使わない

パンだけを作り、お菓子を置いたりしない。

私はそういう頑固で妥協しない感じ、嫌いじゃないです。

 

なんともラッキーなことに、この日のパンデザミは

焼きたてで、鞄の中に入れていたのにメトロの中でも

ずっと良い香りがして、いざ食べる段になっても温かかった。

そしてひとくち食べると、私は感動したものです。

私の人生で食べたパンの中で一番おいしいパンだったからです。

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とはいえ米派の私がそれまでに送って来たパン・ライフといえば

とても豊かであったとは言えないのですが……

それでもパンを食べてこんなにも感動したことがあっただろうか?

このパンデザミは栗やヘーゼルナッツの香りがする、とのことで

ヘーゼルナッツはよくわかりませんでしたが、栗の香りは

口に入れるたびに鼻の奥にふわっと感じられました。

とてもむっちりしていて、香りが良く、さらに皮が固いのが好み。

バターも塗らず、一気に食べてしまいました。

しまった、もうひとつ大きいサイズを買えばよかったと思いながら。

 

さて、もうひとつ体裁を保つために購入したエスカルゴ。

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いろいろな味があり、定番はレーズン入りのものですが

私は今回レモンとヌガーのタイプを選びました。

レモン味の甘いものにだけはほんとうに弱いもので……

ところが、看板商品のあとだったからかもしれませんが

なぜそんなに評価されているのかよくわかりませんでした。

中にはクルミが入っていて、私がナッツ類の中でもとくに

クルミが大嫌い、ということも関係しているかもしれませんが

このパン屋を教えてくれた件の友人も「イマイチ」との評価でした。

 

そして一気にパンを貪り食った私はまた普段の

玄米を中心とした米食に戻っていたのですが

一か月もしないうちになんだか欲望がうずいてたまらなくなり

私はパンデザミを夢見るようになっていったのです。

なにこの中毒性。

 

それでも、決して遠くはないのですが私の家からだと

メトロの乗り換えが異様にややこしいことと、外が寒いことが重なり

出不精の私は二カ月ほど我慢することが出来ました。

出不精もたまには良いことがある。

しかしあの食感と香りが恋しくなり、我慢できなくてついに

帰宅途中にややこしいメトロを乗り継ぎ買いに走ってしまいました。

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今度はひとつ大きなサイズ。

前回買った一番小さい四分の一カットが2ユーロちょっとで

今回買った二分の一カットがたしか5ユーロくらい

……だったと思います。

夕方だからか列は出来てなくて、すぐ買えました。

そして目を血走らせながら帰宅しました。

 

美味しい……

でも正直言うと、初回の焼きたてほどの感動はありません。

保存できるように、多少日にちが経っても、固くなっても

美味しいパンとして造られているようですが、やはり

焼きたてには叶わないのは事実……それでもじゅうぶん美味しいけど!

 

そしてMounaムーナというオレンジの花水の香りが付けられた

ブリオッシュも買ってしまいました……

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かのマリー・アントワネットが言ったという有名な

「パンの代わりにお菓子を食べれば良いじゃない」

という、実際は濡れ衣であるらしいこの台詞の「お菓子」部分は

フランス語だと「ブリオッシュ」と言っているのです。

つまりブリオッシュは「お菓子」パンの代表ってことです。

甘いです、甘いのですがオレンジの花水とか

そんな心惹かれるワードを持って来られると抗えなくて!

 

これ、すっごくおいしかったです。

ひとくち口に入れた瞬間の、オレンジの花の芳香……!

エスカルゴより断然こっちです。

この日はひとくちだけ食べて、感動をそっと心に仕舞いました……

 

さらに……これだけではなく私はなんと

「塩バター風味のキャラメル・リンゴ・タルト」などという

砂糖断ちって、なに?

砂糖断ちという言葉について、考えてみよう?

と原稿用紙3枚程度の作文を求められても仕方がないような

そんなものまでを買って、持って帰って、食べてしまいました。

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だってこのネーミングがまるで赤毛のアンにでも出てきそうな

素敵な響きを持っていてしかも季節限定(10-5月)だと言われれば

ここまで来たんだから試してみるのが女というものなのです!!

ごめんなさい私の身体……!!

明日からストイックになります。

もちろんおいしかったですよ。

「塩バター」というからわざと口周りにつけて放ってみたのですが

ぜんぜんイヤなにおいもしませんでした。

良いバターを使っているのだな……

 

今回この3つを買ってだいたい13ユーロくらいでした

他のパン屋よりはさすがにちょっとお高め。

 

一番美味しくて、感動したのはやはりパンデザミ。

べつの友人にこの感動を伝えたところ

「日本でも注文したら買えるところがあるらしい」

と言っていて驚愕したのですが、その後いくら調べても

そういう話はまったく出てこないので友人の勘違いかと

思うのですが……え、ほんとうに買えるの?

だとしたら日本はほんとうに万物の存在する国と言えましょう……

 

こうしてパン・ライフを見直した私、ひさびさにチーズまで買い

バターも良いものを用意して、いつでもパンを欲する衝動が

来ても良いように準備万端です。

やっぱり餅は餅屋なのだな。

 

Du pain et des Idées

住所:34, rue Yves Toudic 75010 paris

電話:01 42 40 44 52

営業時間:月-金 6h45-20h00

メトロ:5番線 Jacques Bonsergent/3,5,8,9,11番線 République

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