陽気でちょっぴりせつないフランス映画「サンバ」

映画

 

ひさびさ(でもない)に映画を観ようと外出すると

とんでもなく寒くてこれはしまった引きこもった方が

良かったかもしれない……とは思うものの

私は冬の夜に映画館へ行くのがそれでも好きで

好きでたまらないのでしっかりコートの前を掻き合わせます。

たぶんクリスマスのイリュミネーション効果によって

映画のわくわく感が増すのでしょうね。

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さて、このたびはフランス映画「サンバ」を観ました。

これは、期待してなかったけれど、とてもとても良かった。

もう8週目だったというのに満員だったのも納得!

 

この監督&主演のタッグは前作「最強のふたり」ですでに

大ヒットを飛ばしており、日本では今まで公開された

フランス語の映画の中では歴代一位だったそう。

さらにシャルロット・ゲンズブールがダブル主演(たぶん)

だということもあって前作を超えるヒットが見込めるかもしれません。

私のまわりでは「フランス映画は暗いから見ない」という声も

わりと多いのですが、これはめっぽう明るいムービーです。

 

12/26(金)公開 『サンバ』 本予告

 

主演のオマール・シーが演じる青年、サンバは

10年もフランスに住んだのにうっかり滞在許可を更新し損ねて

国外退去しなければならなくなったアンラッキー・ガイ。

そこで移民支援のボランティア団体に助けを求めます。

そのボランティア団体で活動をしているのが

シャルロット・ゲンズブール演じるアリス。

彼女はきちんとした会社で役職に就いていたのになんだか

疲れちゃってよく眠れないし仕事もやめて……もうどうしよう

という、このぼんやりした、とりとめのない雰囲気

シャルロット・ゲンズブールにすごくよく似合ってます。

 

移民問題、滞在問題が表にがつんと出てくるわけですが

これがまさにフランスの今もっともリアルな部分かもしれない。

今フランスを描くなら決して切り離せません。

ボランティア団体の活動する建物も、かつて

フランス映画と言えば誰もが思い浮かべたような

古くて豪奢なアパルトマンなんかとは対極にある

寒々しくそっけない建物で、サンバが居候する

叔父の部屋もおしゃれなどとは一線を画す

狭くて物があふれて掃除もあまり行き届いてないような

ああ、もうおしゃれなフランス映画はとっくに終わったんだわ

……というみんなの気持ちをちょっと盛り返してくれるのが

さすがセルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンの

サラブレッドともいえるシャルロット・ゲンズブール。

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(画像をお借りしました)

 

彼女のくしゅっとしたまとめ髪、おろしても細く可憐な髪質

個人的にはコートがとっても素敵でスリムパンツと合わせると

みんながイメージするパリジェンヌ、そうそうこれよね

という感じなのだけど、実際にはパリジェンヌというと

イジア・イジュラン演じるマニュの方が、服装といい

しゃべり方といい、ああ、いるいる……と思ってしまう。

あくまでスタイルやしゃべり方だけで、こんなに破天荒ではない

と、思うのだけど。

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(画像をお借りしました)

 

私はシャルロット・ゲンズブールにとくに魅力を感じたことがなく

もし両親が無名ならこんなに有名だとは思えないし

(七光というものはそういうものだし運も実力のうちなら

七光も実力のうちだけど)大人になってからの顔にはとくに

魅かれる要素がまったくないなと思っていました。

でもこの映画で彼女の踊るシーンはとてもとても魅力的だった!

少し解放されて、細い髪が揺れて。

このおしゃれとは無縁の映画の中での彼女の存在は

そのたたずまいだけで「やはりジェーン・バーキンの娘なのだ」

と思わせてくれるものがありました。

 

シャルロット・ゲンズブールのささやくようなしゃべり

オマール・シーのどこか田舎っぽい、太くもったりしたしゃべり

二人の会話シーンは馴染まないがゆえに魅力があって

眠れない深夜のコーヒーシーンは少しもの悲しくキュンとくる。

 

あとタハール・ラヒム演じるウィルソンのコカ・コーラのシーン最高。

ウィルソンはちょっと気持ち悪い部分もあるけどそこも含めて良かった。

気持ち悪くて良いこともあるって、気づくことが出来て良かった!

 

あー寒くても観に来て良かった―と思いながら帰りました。

日本では12月26日から全国順次ロードショーです。

 

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