日本人女性として生まれてきて一番大変なことって言えば、それはダントツ脱毛の問題かもしれない……
私の知る限りこれほど女のムダ毛に対して厳しい国は他にないと思う。
脇は当然、顔から手足から背中から腹部から、もう言えないところまで、髪と眉毛と睫毛以外は、まあほとんど不要ですよね、
みたいなこの風潮。
ツルツルですべすべの一本のムダ毛もない肌であることは女としての「たしなみ」であり「マナー」であり「女であることの定義」でさえあり、なんならもう生まれつき無毛なのが当り前だろ的この流れ。
可愛い顔のブラジル人女性が腕にごっそり毛が生えてても、その評価に一点の曇りもないのを見るにつけほんとうに、その自由さがうらやましくてうらやましくて仕方がない。
まあ、VIOに関してはね、ブラジルはね、自由じゃないみたいですけどね……
以前に男性の知り合い(20代半ば)が、好きで好きでつきあった彼女に対し、
「太ももにひょろっと細長い毛が生えてるの見てショックだった。
意外と身だしなみがきちんとしてない子なんだと思い、なんとなく彼女に対して普通のテンションになった」
と言っているのを聞き、べつにその子じゃないのになにか理不尽な気持ちに。
腕の毛まで脱毛するのはおそらく世界で日本人女性だけだと思うのに!
いろいろな脱毛方法があるけれど、ワックスや剃刀、毛を溶かすムースなんかは肌が強くないと出来ません。
強かったとしても、肌は確実に傷むと思うし、わりと世の男性の方が女性より肌がきれいだったりするのは、
もしかしたらこの安価な脱毛方法を続けなければいけないからじゃないでしょうか。
脱色は「太ももの細長い毛」を許さない男性には確実にアウトだし、抜いてしまうと埋没毛の原因になってブツブツしてしまう。
結局、永久脱毛に手を出すしかありません。
でも医療機関で永久脱毛、しかも全身だと、100万はくだらないでしょう。
日本人女性でいるというのはほんとうにお金と手間がかかるな、と思う。
というか、上記の知り合いに言ってやりたい、いやもう言ってやった!
さて、海外在住の女性は、この脱毛問題どうしているのでしょう?
「もう海外はVIO以外はゆるいんだから放っておけばいいんじゃないか」
という悪魔のささやきが聞こえることもあるかと思いますが、やはり長年にわたり刷り込まれた
「女はツルツルじゃないと恥ずかしい」
というこの気持ちは、もしかしたらずっと消えないのかもしれない……
さて全身永久脱毛なんてすでに受けつくした大和撫子
……であったとしても、光やレーザーならおそらく忘れたころにアレ……?ということは普通です。
針脱毛ならほぼ永久みたいですが、体験したひとから、
「10分で総白髪になりそうな痛み」
だと聞いてしまったので、足が震えてとても無理です。
無理無理。
とにかく半年に一度帰国するようなひとならいいけれど、そうでなければパリでレーザー脱毛をやるしかないのだろうか?
と考えてみたことがあります。
私はほんとうに剃刀はダメです。肌が大根おろしみたいになる。
でも日本だってドキドキする脱毛を海外でなんて、並みの勇気では……
……て、考えてるんだけどどう思いますか?
と先日、たまたま隣にいた知り合いの女性に、訊ねてみたのです。
すると
「私、去年パリでレーザー脱毛やりました」
と、彼女からは驚きの回答が!マジで!
「すごく痛くて、太ももが火傷跡のようにひきつってひどいことになりました」
と、さらに衝撃の体験談を語ってくれました。
彼女が店に文句を言いに行くと、
「それは脱毛後、冷やしてからワセリンをずっと塗り続けなければいけない。
なのにしなかったからそうなった。自己責任だ。
こっちは悪くない」
と言われたとのこと。
そんな注意を事前に受けたのかと訊くと、「受けてない」と彼女は言います。
しかしよく見ると店内にちいさく、張り紙がしてあったようです。
いや、事前に注意しないとダメでしょ……
フランスよくあるけどこういうこと……
張り紙もものすごくちいさかったり……
火傷痕はどうなるのかと訊くと、まだそのままだとのこと。
「どのくらいで治るの?」
「なおら、ない」
「……!だって水着とか」
「水着、きない」
「訴え……」
「ない」
とものすごくきっぱりしていて、なんか、サムライだって、思いました。
まだ20代なのに水着をあきらめなければいけなくなって、一言の謝罪もなく、確実に訴えてもいい案件だけど、張り紙をしていた事実が微妙なんだそう。
というわけでフランスで脱毛はやっぱりやめた方がいいな、と思いました。
フランス人がもうちょっと責任とか、考えるようになってから、かな……
帰国を待って、信頼できる日本でやるべきです。
それにしても彼女の強さには脱帽しました。
ほんとうに、私なら1年くらい枕を濡らすような出来事です。
私は関係ないのに彼女の話を聞いて、もう腹が立って腹が立って、その店をひどく罵りましたが、当の本人はとても冷静でした。
今年の夏あたり、「女のムダ毛も魅力のうち☆」みたいなブームが来たらいいのに。
そうすればこんな悲しいことは起こらないのに。