前回書いた薄肌の主な3つ原因のひとつ、「ピーリングのしすぎ」。
これは他の2つの原因に比べると簡単に改善できます。
だってもともとは普通の厚みがあったわけだから、原因を取り除けば皮膚は元の状態に戻ろうとするはずです。
ピーリングは薄肌が絶対にやってはいけないことですが、それだけではなくクレンジングの成分が強力すぎるということも肌を薄くする原因です。
クレンジングは強力な合成界面活性剤パワーによって濃いメイクをしっかり落としてくれますが、同時に肌のバリアも壊してしまう。
だからクレンジングや、洗顔料の成分に気を配るべきですが、毎日しっかりメイクをするなら強いクレンジングを使わないときちんと落とすことはなかなか難しい。
ここがスキンケアでもっとも悩ましい部分なのですよね。
こうしてクレンジング、洗顔料、ピーリング、スクラブなど肌バリアを壊す強い商品を使い続けることによって「ビニール肌」という状態になってしまうわけです。
◆「ビニール肌」とはなにか?
ビニール肌は、肌理がほとんどなくなってしまった状態です。
磨きすぎ、こすりすぎで、ピカピカしてツヤツヤしてるので一見するととてもきれいな肌に見えないこともない。
なんというか、ペカーッっとしてるのです。
でも外からの刺激に弱く、乾燥しやすく、それなのに皮脂量が多い。けっこう、最悪の状態です。でも一見キレイだから、なにか問題があると思いにくいのです。
でもその実、小じわが多くて毛穴が目立ち、炎症が起きやすい。
原因は上記したように、強いクレンジングに含まれる石油系界面活性剤による過剰なお手入れ。
その他日焼けのし過ぎや睡眠不足やストレスも原因です。
◆ピーリングより悪い、シートパックは薄肌にはNG
ところで私は中学生のころ、毛穴用のシートパックに夢中でした。
あのベリベリ剥がすやつ。
これは薄肌にとっては最低最悪……でも楽しくて……
やればやるほどどんどん毛穴が広がっていくのがわかりました。
それから鼻のところだけがつっぱってる感覚がずっとありました。
今から思えばあれがビニール肌だったのか……!
そして鼻のところだけ皮がむけることがありました。
メイクをはじめたころは、ファンデ-ションをぬると鼻だけ上手く乗らなくて、皮むけが異常に目立ち、目を背けたくなるようなひでえ有様に!
それでも「鼻は皮脂が多いから」とあまり保湿もしませんでした。
まさか……まさか鼻だけ乾いている状態だとはね!
こうして私はずっと「鼻だけファンデーションをあまり塗らない」という、どうにも先の見えない方法でやり過ごしてきたのですが、ある日、とつぜんに
「もう……もうイヤ!!こんな鼻の皮のむける日々は!!キイ!!」
とヒステリーをおこしていろいろ調べ上げたあげく、たどり着いたのがやはり、「角質培養」だったわけです。
◆ビニール肌を改善する唯一の方法「角質培養」
角質培養は、とにかく肌を「放置」する。触らない、こすらない。
悩みのタネの鼻の角栓については
「放置して肌の角質を育て、自然にポロリと取れるのを待つ」
という、気の遠くなるような、強い精神力を要する方法です。
「垢ため」という呼び名もあり、少し不潔なイメージもあるかもしれませんが「人間ちょっとくらい不潔な方が頑丈だ」って良く言う……でしょ?
本来は生まれたばかりの肌細胞は肌の一番奥にあり、それが徐々に育っていくごとに少しずつ表に出てきます。
そして最後に死んだ細胞として表面に出てくるのが角質です。
それは役目を終えれば自然にぽろりと落ちていくのが正常な肌なのです。
ピーリングやシートパックでムリヤリ角質を剥がすことによって、きちんと育ちきっていない未熟な細胞が角質となって出てきてしまい、ターンオーバーが乱れた肌が出来あがってしまう。
未熟な細胞が急かされてどんどん角質として表に押し出されるということは、肌が脆く、弱い状態であるということが想像できます。
だから、とにかく待とう、鳴くまで待とう、落ちるまで待とう、ということなのです。
◆角質培養の基礎「水洗顔」 は、徹底するより頻度を見極める
私が角質培養をはじめるにあたって、まずは洗顔料をやめて水洗顔を併用して角質を育てることにしました。
その結果
「眉間だけ脂漏性皮膚炎になる」
という情けないことになったため、水洗顔は中止して夜だけ泡洗顔をする方法に変更。
角質培養をやり始めて「痒くて仕方がない」という声が多く、それに対して
「それも我慢していればいつか抜け出して美肌に」
という意見もあるし、私のように一部脂漏性皮膚炎になってしまい、ちょっとストップ!という判断をした者もおります(水洗顔で脂漏性皮膚炎になった話はこちら)。
ただ私は「水洗顔」を「泡洗顔」に変えて、泡洗顔の頻度をいろいろと調節することで続けられました。
それぞれ体質もあるし、この判断は自分でするしかないのです。
泡洗顔には、日本では「白雪の詩」という安くて大きな石鹸を愛用。
フランスではオリーブ油系のマルセイユ石鹸を使っています。
とにかく触らない、こすらない、が大切なので、洗顔をしたあとタオルで「フワサ……」という感じで水滴を取り、そのあとはセラミド配合のジェルだけさっと塗っていました。
メイクはミネラルファンデとリップクリームだけ。眉も書かない。
クレンジングはマルチナオーガニックのローズのミルククレンジング。
角栓が目立っても、どれだけうずうずしてもいじってはいけません。
◆角質培養は己との闘い
たいていは、はじめてから二週間がとてもひどい状態になるらしく、私も
「今までは削ぎ落としていたいろんなものが溜まっていく」
状態が異様に汚く感じて、透明感がなくなり顔色が悪くなっているというか、ずいぶん肌色が黒っぽくなり、くすんでいるように感じました。
人によってはこの時期にニキビが大量発生したりするそうです。
そして角栓を放置しなければいけないのは本当にストレス。
角質培養の難しさというのは、この時期の
「俺たちはほんとうにこの暗闇を抜けることが出来るんだろうか……」
という疑問との戦い、己を信じる心を保ち続けられないことにあります。
基本的には長期戦を覚悟しなければいけないし、ひと月ふた月ではなく、真剣に毛穴を気にしているなら年単位で考えなければいけません。
私はどうだったかというと、結局水洗顔は断念しましたが、ものすごく真面目に続けたのは一年半くらい。
やり方をまとめると、以下の通り。
■シートパックやオイルクレンジングやピーリングをやめる
■化粧をしている日は夜だけ泡洗顔は行う
■洗顔後と乾燥したときはセラミド配合ジェル
■触らない
■メイクはミネラルファンデのみ
■紫外線になるべく当たらない
こうして角質培養を続けた一年半で、確かに毛穴がちいさくなってシートパックは必要ない状態まで回復しました。少なくともイチゴ鼻、という状態ではなくなりました。
初期は人によっては外に出られない状態になる人もいます。角栓が気になって出かけられないという人は、毛穴に負担をかけないように鋏でカットするといいと言われます
私の場合、だいたいはじめて半年くらいで変化に気がついたと思います。鼻も普通にファンデがぬれるようになりました。
しかし今でも保湿を怠るとやっぱり皮がむけます。ビニール鼻は完全には治っていないということなのだろうか?
◆いろいろ試して、回復したらゆるく続ける
洗顔後には馬油やホホバ油などオイル系を使うという人も多いです。
私も試したのですが、肌が固くなってしまい、合わないと感じたので、いろいろと使ってみるしかないと思います。
今では
■ノンケミのオイルクレンジングをときどき使用
■出かけるときは軽いアイメイクなどもする
■クリーム状の日焼け止めも使用することがある
■日傘が使えないので紫外線には以前より当たっている
というように条件は軽くなっていますが、ゆるい角質培養は続けているといった状態でしょう。
私はもともと薄肌なのでゆるい角質培養くらいは続けることが必要です。
もとが厚いのであれば、ある程度回復したら止めてもいいのかもしれません。
角質培養によって一番効果を感じやすいことは、「丈夫になる」ことと、「毛穴が小さくなる」ことだと実感しています。
個人的には角質培養に一番必要なものは、「どうしても」という強い気持ちだと思います。
どんなに困難を伴ってもよいので治したい、という気持ちがなければ、あの、瞬間とはいえどうにもこうにもならない肌状態に耐えられないかも。
あと好奇心旺盛な人は向いてると思います。
なんか、こう、いろいろあっても
「ふふふ……溜まっていくぜ」
という気持ちで観察するのが楽しくなっちゃうタイプの人は。