みんな大好き! 清楚で高級感のある《石鹸系の香り》特集

香水

今日は書こうと思ってしばらく忘れてしまっていた「石鹸系の香水」についてです。ノンケミなどと言っているくせに香水には甘い私……

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さて、以前に書いた「シャンプーのような香水」の需要もこの世には一定数あると思います。というのも日本人男性が一番好きな香りはシャンプーの香り、てなことが定期的にananのランキング的なもので発表されるからです。

まるでお風呂上がり《シャンプーのようなにおいの香水》特集
弾丸一時帰国中に友人と一緒に買い物していたときに、彼女が「今このにおいが好き過ぎて」と買っていた、これ。フェルナンダ フレグランスボディミスト マリアリゲル。今すごく人気なんだと言っていて、実際店側のプッシュもすごかった。@コス...

しかしそれは

「毎日お風呂に入って衛生に気を配る女の子が使っているシャンプーの、香らせようと思うこともなくたまたま髪に残っていたそのほのかな芳香が風に乗って漂ってくるのが好き」

ってことであって、自分で書いといて何なのですが、ほんとうはシャンプーのような香りというのは香水の浪漫のようなことからは外れている、と思っています。

しかし石鹸系の香水はちょっとちがって、香水のジャンルとしてすでに確立されている。そして石鹸というものはシャンプーに比べて女性の持ちものとして格段にロマンチック、だと思っています。

たとえば

「王子様はお姫様のお誕生日に、よい香りのシャンプーをプレゼントしました」

と書かれてると「おい王子もうちょっといいものプレゼントしたってよ誕生日なんだから……」

などと王族なのに王子はおちょこ疑惑をかけられる可能性もあるのですが

「王子さまはお姫様のお誕生日に、よい香りの石鹸をプレゼントしました」

だと、なるほどそれはアリだな、王子いいね、女心をわかってるわー、と、印象が変わりませんか?値段はたぶん同じくらいなのに……

……そんなわけで私は石鹸系の香水が好きです!強引に行きますよ年末まで!

石鹸系の香水というとけっこう膨大になりますが、今回は私自身が「使っている」もしくは「使っていた」、つまり現品購入したことのある商品に限ります。たとえば石鹸系というとプチサンボンなんか有名ですが、私はあんまりプチサンボンを石鹸のような香りとは思えなくて、もっと「外国のホテルに置いてる高級石鹸」のような香りが好きです。そういった傾向があるということはご了承ください。

5人に1人は持っている、もはや定番のクロエ「オードパルファム」

サンプルですが……写真撮影許可は取っています。「いいんじゃない?べつに」て感じの返事だったけど……

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世界中で大ヒットし、2009年ごろは、すれ違う女性のほとんどからクロエの香りがしていました。日本だけではなくて2015年現在のパリでもまだこのクロエを使っている女性と頻繁にすれ違います。

京都の三条で、はじめて友人がこの香りを漂わせて現れたとき、なんという素晴らしい香りなんだと衝撃を受けました。友人は誰よりもこのクロエを使っていたのが早かった気がする。その後友人はこのクロエを作った調香師のおっちゃんの下で働くことになってから「もうクロエはみんなが使いすぎてて飽きた」みたいな問題発言をしていたけど、私もわりと同じ感想で、いろんな女性が「柔軟剤みたいないい香り」と言ってこの香水を愛用しているらしいのに直面すると、「柔軟剤か……」とテンションが落ちてしまって使わなくなりました。やはり使用人口が増えるとそのぶん、安売りされるようになったりイメージが低下したり、良くも悪くも大衆化されてしまう。50ml2980円くらいの価格帯のものならそれでもいいけど、一定以上の値段のものはイメージが守られるかどうかって商品としての生命線だと思います。

でも使用人口の減った今こそ使い時かもしれない。

やはり名香には違いなく、クラッシックで粉っぽい薔薇石鹸のようなこのクロエの香りには、どこかモダンな要素が感じられるのが素敵。

ほらほら!「柔軟剤」だと言われるとがっかりするけど「薔薇石鹸」だと良いでしょう!イメージって大事ですよ!

トップノート……フリージア、芍薬、ライチ

ミドルノート……薔薇、マグノリア、すずらん

ラストノート……ムスク、アンバー、シダーウッド

石鹸系の香りの宝庫サンタマリアノヴェッラ

サンタマリアノヴェッラのコロンはどれも石鹸のような香りといえば石鹸のような香りですが、その中でも「まさに石鹸」と思える3つ。サンタマリアノヴェッラについてはレシピを公開していないので香料はわかりません。

フリージア

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個人的にサンタマリアノヴェッラのフリージアは石鹸系の香水では、いろんな意味で完璧なんじゃないか、と思われる。

ブランドイメージといい、価格帯といい、ボトルの美しさといい(以前に比べると少し安っぽくなりましたが)、コロンという軽さも、このブランドに関しては良いです。

そしてこれまで100mlの香水を使い切ったことなんてなかったんですが、このフリージアが唯一「使い切って」「また買った」リピート香水です。

よくこのフリージアに関しては「牛乳石鹸そのままズバリのにおい」と言われます。たしかに似ています。でもほんとうに「ただの牛乳石鹸」なだけならこんな値段出して買ったりはしませんでした。牛乳石鹸を服の袖にでもこすりつけときます。

このフリージアの良さは、「ものすごく可憐なパウダリー」ってところです。パウダリー系って言うのは基本的に秋冬用の重い香りが多いですよね。「化粧品のにおいがする」とか「おばちゃんくさい」といわれちゃったりするやつはたいていパウダリー系。

でもこれはとてもさわやかで清楚な粉っぽさ。私ははじめこの香りを何とも思っていなかったんだけど、ムエットをもらって持って帰って、その夜になんとなく嗅いでみたときに、もう嗅ぐのをやめられなくなってしまって「これは買うな」と確信しました。

これを言っているのはまわりを見回しても私だけなので参考にしないでほしいのですが、「サイダーのような甘さのパウダリー」と思っています。さわやかな中にどこか、砂糖菓子のような甘さが微かに感じられるからだと思います。

さわやかだけれど、パウダリーだからかきちんとフェミニンな印象もあります。どんな服でも合う。気分が悪くなったこともない。

ただ件の友人は日本でこれつけてたら一回だけ「臭い」って言われたことがあるらしいので気をつけないといけない。

ちなみにパリのサンタマリアノヴェッラで買ったとき、「フリージアの香料は入ってない」って言われました。

ザクロ

「007/カジノロワイヤル」に登場したことで有名なこのコロン。ジェームズ・ボンドで使われるならもうそりゃ一級品ですよ。

ほんとうに石鹸のにおいっていうと、フリージアよりこのザクロの方が正確なんじゃないか、と思います。しかし「男っぽい」「床屋みたいなにおい」という感想を持つ人も多いようですね。

フリージアに比べるととても「濃い」香りです。石鹸のむんとするようなきつさが凝縮されています。でも濃い分、甘さや高級感はこちらの方が上です。クラシカルなヨーロッパを思わせる大人の香り。だってボンドガールですよ。

とにかく「外国の濃厚な高級石鹸の香り」です。超高級ホテルに置いてありそうなイメージですね。プロはフリージアよりザクロの香りを「よく出来ている」と高く評価しがち。私も好きですが、フリージアみたいに毎日はつけられない。たまにつけると気分が良いです。

それで、このザクロについてもサンタマリアノヴェッラの姉さんは「ザクロの香料入ってない」っていっていました。どういう基準で名前つけてるんだろう!

ゴールデンマスク

公式に「ソーピーな香り」って言ってるヤツです。石鹸系というのはつまるところ「ムスク」なんだと友人は言っていましたが、もうひとつの「マスク」よりもこちらの方がずっと高級石鹸の香り。

高級石鹸のイメージですが、ザクロよりはもっと粉っぽさのない、ハーブのようなさわやさかもあって男性へのプレゼントとしても良さそうな香りです。

ただこれは、使う人によってものすごく香りが変化してしまいます。フリージアやザクロはだいたい誰が使っても同じ匂いですが、私は香水が甘く変化するタイプで、友人はキリッとソーピーに変化するタイプ。完全に友人が使った方がいいにおいでした。甘くなるタイプの人は気をつけて。

ちなみに私はこのにおいを嗅ぐとパトリス・ルコント監督の「髪結いの亭主」を思い出します。なんででしょう。雰囲気があってるんでしょうね。

プラダの香水はなんだかストイック

私のイメージではプラダってすごくしゃきっとしてストイックなんですけど……。

インフュージョン・ディリス・オードパルファム

石鹸系、と言われますが石鹸系としては少し変化球だと思います。「イタリアの高級ホテルの清楚なリネンを思わせる」といわれるように、ちょっと糊のきいたシーツのような香り。

「普通の石鹸」という人もいるんですが、私は石鹸系の中では個性的だと思います。パウダリーですが、甘さがなく、スキッとしていて硬派です。でもサンタマリアノヴェッラのフリージアのような可憐さはなくて、大人の女性に合う香り。トップのオレンジブロッサム、マンダリンが際立っています。調香師ダニエラ・アンドリエの言うように、いっさいの媚態がない、でもフレッシュでフェミニンな優しさが感じられる香りです。

トップノート……シチリア島産マンダリン、オレンジ・ブロッサム、ネロリ

ミドルノート……フィレンツェ産アイリス

ラストノート……インセンス、ベンゾイン、シダーウッド、ベチバー、レンティスク、ガルバナム

インフュージョン・オム・オードトワレ

メンズですが、女性が購入していく率がとても高いそうです。

とてもすっきりとした石鹸の香りで、私はインフュージョン・ディリスよりもクセがなく使いやすいと思います。それは個性がないとも捉えられるかもしれませんが、けっこう人によってくるくると香りが代わるタイプの香水だと思います。あんまり色っぽさはないんですが、「シャワーを浴びて真っ白なシャツを身につける」フレッシュな瞬間がイメージされています。

トップノート……ネロリオイル

ミドルノート……イリス パリダ、ファセット、ベチバー、シダーウッド

ラストノート……インセンス、ベンゾイン

バナナ・リパブリック「クラシック」

「アメリカのアパレルメーカー特有の香水」ってありませんか。カジュアルでとっつきやすいけど飽きやすくもある。

私はこれは途中で飽きてしまって使わなくなったんですが、柑橘系の「レモン石鹸」のようなイメージで探している人にはちょうど良い商品だと思います。ほんとうにあの古めかしい「レモン石鹸」なんですよね。粉っぽさはほとんど感じられず、ストレートにただ「すっぱいな……」と思ってしまう香り。でもとてもピュアなイメージがあり、たとえばプチサンボンを愛用している人がバリエーションとして持つには良いかもしれない。柑橘好きな人にはたまらない香水です。

今回のリストの中では1番軽くてカジュアルなので、万人向けです。

トップノート…… ベルガモット、グレープフルーツ、マンダリン

ミドルノート…… グリーンリーフ、シルバーセージ、ラベンダー、ジンジャールート

ラストノート…… ブロンドウッド、シダーウッド、セクシームスク

ペンハリガン「アルテミジア」

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ペンハリガンは、友人は良い香料を使ってる香水と悪い香料を使ってる香水と差が激しいと言うんですが、このアルテミジアはどうでしょう、平均的、かな……

でも店に入って、「1番ソーピーなやつ」と注文するとこれが出てきます。たぶんネクタリンとスミレとサンダルウッド、バニラあたりだと思うんですが、とても「甘くて女の子らしいパウダリーな石鹸」です。

たしかに石鹸の香りがし、可憐なイメージもありますが、とても甘いのでさわやかさには欠けると思います。しかしそういう甘い石鹸を求めている人もきっといるでしょう。日本で使うには、服に隠れている部分に付ける方が良いと思います。

でもなんて言うんでしょう、「ヨーロッパの貴族の女の子が使う甘い石鹸」みたいなロマンチックな濃厚さがあり、日本の風土には合わないかもしれないけれど、ある種の願望を満たすのに最適の香りです。

トップノート……ネクタリン、グリーンフォリエイジ

ミドルノート……グリーンアップル、スミレ、ジャスミン茶、バニラ、リリー オブ ザ バレー

ラストノート……バニラ、ムスク、オークモス、アンバー、サンダルウッド

エルメス「カレーシュ」

これは正確には石鹸を「もらったんだけどいらないから使わないか」と友人から譲ってもらって使いました。

でも香水の方もまごうことなき石鹸の香り。これ以上は粉っぽくなれないというほどに、むせるような強烈なパウダリー系香水です。

これはちょっと諸刃の剣というか、一歩間違えるとマダムっぽくなり過ぎて、出先で挙動不審になってしまうリスクをはらんでいます。

しかしこれ以上パウダリーで、これ以上高級感のある石鹸系香水というのは今のところ存在しないような気がします。

日本ではわからないですが、ヨーロッパの乾燥した空気の中でならちょこっとつけている分にはふと香って「あ、いいにおい」と思えます。

意外と甘さは控えめなので、クラッシックな香水の中でもたとえばシャネルのN°5なんかに比べるとまだ使いやすいかも。

トップノート……ベルガモット、レモン、ネロリ、サイプレス、アルデハイド

ミドルノート……薔薇、アイリス、オレンジブロッサム、ジャスミン、イランイラン

ラストノート……アンバー、ムスク、パチュリ、ベチバー、オークモス、レザー

アレッサンドロ・デラクア「オードトワレスプレー」

廃番なんですが、「ものすごく石鹸だ」とのうわさを聞いてずっと探していました。偶然ストックのある店を見つけて買ったときは店員の姉さんに「あ、あれですよね、石鹸のにおいの」といわれたほどに石鹸です。

石鹸系香水とはいえ、プチサンボンのような「さわやかで、誰にも香水をつけているとは思われないような香り」を求めている人はこれを嗅ぐと卒倒するかもしれないくらい強い、外国の高価な石鹸の香りです。

今まで嗅いだ石鹸系の香水の中で一番「甘さの排除された、真四角の白い石鹸」というピュアなソープ系です。同時に石鹸のツンとするようなきつさが強調されています。でもこれが、「隣りの人が足首に少しつけている」くらいの状態だとなんとも言えず良い香り。その人について「どんな生活してるんだろう。想像がつかないな」ってつい考えてしまうような。

トップノート……ゼラニウム、コリアンダー、スイートピー

ミドルノート……薔薇、芍薬、ハイビスカス

ラストノート……ムスク、サンダルウッド、インセンス

ここで量り売りで買えるみたいですね。

おまけ「グロウバイジェイロー」

「ジェニファー・ロペスのシャワー後の肌の香りをイメージ」というだけあって、石鹸というか、ちょっと湯気のむんとするような……うーんこれも石鹸なのかな?っていう迷いが生まれる香りですね。

ちょっと他の香水に比べるとあまりいい香料ではないし、価格帯もぐっと安い。最初に嗅いだときは「何かがイヤだ」という漠然とした感想を持ってしまいました。「虫よけスプレーに似てる」という人がいるんですが、それはよくわかる。虫よけスプレーのようなつーんを鼻を突く、どこかメタリックなにおいもします。

しかしある日これを店頭で試してみて、右手にこのグロウバイジェイロー、左手にステラオードパルファムをつけて美容院に行ったんですよね。ちょっとしかつけてなかったのでほとんどにおいは消えてしまってて、髪を乾かして仕上げてもらって、ケープをはずされたときに、ふと右手から香ったグロウバイジェイローはすごくいい女の香りだった。「こ、これがお尻に保険がかってるというジェニファー・ロペスのお風呂上がりの香りなんだ」って思って帰りに買ってしまいました。

そんな香水です。

トップノート……ネロリ、オレンジブロッサム、ピンクグレープフルーツ

ミドルノート……薔薇、アンバー、サンダルウッド

ラストノート……ジャスミン、バニラ、ニオイイリス

まだあるかもしれませんが、今思い出せるのはこれだけです。

石鹸系の香水を探している人はちょっと参考にしてみてください。

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